自宅で介護、どうする? 初めての方の在宅介護心得
活用できる福祉サービスと、かしこい活用

 子が親を介護することは、とても大切なことです。育ててもらった恩返しでもあり、親への愛情表現でもあります。でも、すべてを自分ひとりで行おうと思うと無理が生じます。介護が原因で介護者の方が病気になったり、心のバランスを崩すというのは、決して珍しいケースではありません。介護者である「子」が病気になれば、親を介護することはできなくなり、それどころか、自分まで誰かに看病をしてもらわなければならなくなります。自分ひとりで抱え込まないためには、いろいろなサービスをかしこく利用することが不可欠です。

[行動1]3種類のサービスをかしこく使い分ける

 福祉サービスは、利用できる対象者や利用の方法などにより大きく3種に分かれます。親の暮らす地域にどのようなサービスが存在するか調べて、親の心身の状況、金銭的な面も含めて検討し、利用するサービスを選択しましょう。

 3種に分かれるサービス
  1. 介護保険制度で受けられるサービス

要介護認定で、支援や介護が必要と認められた場合に受けられます。
 
  2. 市区町村独自のサービス

自治体が独自に実施しているサービスで、配食サービスや、寝具洗濯サービスなど、内容は、市区町村により異なります。
 
  3. 全額自己負担で受けられる民間サービス

提供事業者によって、サービス内容は異なります。営利の事業者のほか、非営利のNPOなどの提供するサービスもあります。
 

[行動2]コツをつかんで、嫌がる親にも上手に勧める

 自分ひとりで背負わないように、福祉サービスを導入しようと思っても、うまくいかない場合もあります。親世代のなかには、「福祉の世話になどならない」とか、「他人を家に入れるなんて嫌だ」と、在宅福祉サービス利用に抵抗を感じる人が少なくないためです。親が「嫌だ」と言い張った場合、次のような方法で導入を試み成功したケースもありますので、お試しを。

 嫌がる親にサービス利用を勧める4つのコツ
  1. 親の主治医からサービス利用を勧めてもらう

親世代は、「先生」のことを尊敬し、先生の言うことであれば、子の意見よりも耳を傾ける傾向にあります。
 
  2. まずは、看護婦さんに訪問してもらうサービスから利用する。

ホームヘルパーさんのことを、「お手伝いさん」と、間違った捉え方をし、サービスの受け入れを嫌がる親もいます。看護婦さんなら、医療のプロと捉えるようで、訪問サービスを受け入れるケースもあります。
 
  3. 他人が家に上がらないサービスを利用する

ホームヘルパーさんはもちろん看護婦さんでも嫌がる場合、他人が家に上がることに抵抗を感じるということでしょう。そのようなケースでは、まずは配食サービスや福祉機器の貸与など、他人が家に入らないサービスから利用します。福祉への抵抗感をやわらげてから、ホームヘルプサービスなどを使うとうまくいくこともあります。
 
  4. とりあえずは介護保険の認定を受ける

サービスを利用するかしないかは、後で考えるとして、「とりあえず、介護保険の認定だけは受けてみよう」と勧めます。実際にサービスを1割負担で利用できると分かれば、受け入れるケースもあるからです。
 

役立つ相談窓口
親の意思を尊重する事は大切で、押し付けは禁物。ただし、ときには少しだけ強引に事を進めることが良い結果を生むこともあります。そういうとき、義理の親子だと関係がぎくしゃくします。実子の存在が欠かせません。男性も妻まかせにせず、自分の親の介護には積極的に関わる姿勢が必要になります。
介護保険の認定調査のとき、親はプライドから、調査員の質問に何でもかんでも「できます」「できます」と答えてしまうことがあります。サービスの利用範囲の決まる大切な調査なので、できるだけ付き添うようにしましょう。家族の言葉も特記事項として書き添えてくれることもあります。



体験談
 Aさんの父親(80代)は故郷でひとり暮らし。頑固で人の世話になるのは嫌だと言い張ります。Aさんは、なんとか在宅福祉サービスを導入しようと、地域で活動するボランティアグループの配食サービスを頼んでみました。「まずかったら、断わればいいんだから」と半ば強引に父親を説得したのです。すると、週に1回配達される食事は色どりも美しく、おいしく、父親は大満足。いつしか、1週間を心待ちするようになりました。父親は、「福祉」に対するイメージが変わったのか、半年後には、ホームヘルパーに来てもらうことも承諾しました。


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